愛楽園入所者と交流 那覇市と議会、62年連続訪問 ハンセン病理解促進


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 【名護】名護市済井出の国立療養所「沖縄愛楽園」を那覇市議や那覇市幹部らが訪れ、同園の那覇市出身者でつくる「那覇郷友会」などの入所者たちと交流する入園者激励事業が1955年から60年余も毎年続き、ハンセン病への理解や交流の促進につなげている。62回目の交流が22日に行われ、那覇市議会教育福祉常任委員会(金城眞徳委員長)や同市の知念覚副市長ら16人が同園を訪れて納骨堂に献花し那覇郷友会の会員と懇談も実施した。また、芸能公演に「山川まゆみ&島うた少女テン」が出演し、かわいらしい歌三線や会場一体となったカチャーシーなどで盛り上がった。

歌三線に乗せ、一体となってカチャーシーを舞う「山川まゆみ&島うた少女テン」メンバーや入所者、那覇市からの交流参加者ら=22日、名護市済井出の沖縄愛楽園

 沖縄愛楽園那覇郷友会会長の伊佐眞榮さん(74)によると、那覇市からの訪問は1955年に同市の申し出により市議11人が同園を訪問したのが始まり。当初は園に那覇出身者が約200人いたが、今は39人となった。訪問が途切れずに62年連続で続いていることに伊佐さんは「ありがたい。那覇市民にも感謝している」と継続に期待した。

 納骨堂で那覇市の訪問団に向けて話した伊佐さんは強制隔離や強制堕胎にも触れ「人間の尊厳が踏みにじられたのがハンセン病の歴史だ」と差別や偏見のない社会へ次世代の教育の大切さを強調した。

 市議会教育福祉常任委員会の金城委員長は「訪問を契機にハンセン病への理解を深め、社会から偏見と差別をなくしていく決意を新たにしている」と誓った。