カーナビで沖縄の観光客受難 古い地図情報、番号検索で誤解


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄本島北部を訪れる観光客がレンタカーのカーナビで北部のホテルや飲食店を電話番号で検索した結果、本来の目的地ではない東村役場に到着するケースが相次いでいる。

 東村役場によると、北部西海岸側の名護市街地方面に向かう人たちが、間違って東海岸側の東村を訪れたケースが週に少なくとも2、3件続いているという。同村は「名護から東村まで片道40分かかる。観光にも悪影響ではないか」と頭を抱えている。

 村職員によると、レンタカーで役場を訪れるのは主に外国人観光客。職員が観光客に本来行きたかった場所を訪ねると名護市街地のホテルや飲食店が多かった。東村企画観光課の宮田健次課長は「時間をかけて東村まで来て、本来の目的地にたどり着かないのは気の毒だ」と話している。

 目的地ではなく東村まで誘導されてしまうのは、ナビの地図情報が古いことが主な原因だ。カーナビ大手の富士通テンによると、利用者は新たな地図情報のデータを購入してナビを更新しないと施設情報が反映されない。

 県レンタカー協会によると、ナビの更新が追い付かず、該当する電話番号が表示されない場合は、その番号に近い周辺の役場が案内される。回避策として富士通テンの担当者は「お勧めのお店などをレンタカー会社が地点登録をしておくのも一つの方法だ」としている。

 同協会によると、レンタカー会社によってナビの更新時期は異なっており、2年ごとにナビを新しくするレンタカー会社もあれば、5年間ナビを更新していない会社もある。

 名護市の人気焼き肉店「燒肉乃我那覇新館」によると、実際に観光客がカーナビで東村役場に到着した事例があった。同店の電話番号0980(43)6583をレンタカーのナビで検索すると「ピンポイントデータがありません」と表示され、その後「098043の局番に該当する役場を表示しますがよろしいですか」と案内される。

 そこで利用者が「はい」を選択すると、東村役場への案内が始まる。東村役場の番号も同じように「0980(43)…」と続くため周辺施設として判断するようだ。

 名護市役所の番号は「0980(53)…」だが、新しく名護市内にできたホテルや飲食店は0980(43)…」が多く、番号が近い東村役場を案内するケースがあるとみられる。燒肉乃我那覇新館の前里源太店長は「どこに対応を求めたらいいか分からず困っている」と困惑気味だ。

 ナビ案内などについて沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の平良朝敬会長は「現段階でクレームなどはない。実態を把握してから対応したい」としている。(阪口彩子)