農家にベトナム実習生 JAおきなわ、現地派遣会社と協定


この記事を書いた人 新里 哲
協定を結んだJAおきなわの大城勉理事長(左)と、アジア人材育成有限会社のファン・ティ・ハイ・アイン社長=29日、那覇市のJA会館

 人手不足が深刻化している農家を支援しようと、JAおきなわ(大城勉理事長)は29日、ベトナムの実習生派遣会社・アジア人材育成有限会社(ハノイ、ファン・ティ・ハイ・アイン社長)との間で協定書を締結し、外国人技能実習生を受け入れて農家に斡旋(あっせん)する事業を始める。2017年7月にも実習生第1陣・約20人を受け入れる予定で、県内農業生産の拡大や実習生の人材育成につなげる。

 JAおきなわによると、県内農家48人から108人の実習生受け入れ希望がある。毎年2回に分けて受け入れを進め、4年後には最大100人程度を受け入れる。雇用契約や給与の支払いは農家が担う。給与や社会保険料など、実習生1人当たり215万円程度の負担になるとみられる。

 外国人技能実習生は日本の技術を学び、本国で生かせる人材育成を目的とする。開発途上国から最長3年間受け入れる。農業分野は2000年以降、段階的に受け入れ対象職種になった。JAおきなわが実習生を受け入れる監理団体となり、農家に斡旋する。仏教国で養豚場でも働けることや、温厚で勤勉な人柄があるとしてベトナムの派遣会社との協定締結を決めた。

 29日、那覇市のJA会館で行われた協定締結式で大城理事長は「JAの指導体制をフル活用し、ベトナムに貢献したい」とあいさつした。

 先行して外国人の受け入れを進めている県外では実習生が失踪するほか、事前の説明と違う厳しい労働を強いられる事例もある。JAおきなわの城間政広担い手サポートセンター長は「離島も含め県内各地にいる営農指導員が定期的に巡回して状況を確認する。JAのネットワークを活用して対策を取る」と語った。

 ファン社長は「実習生の心のケアも重要だ。24時間受け付けのホットラインを設けて悩みを聞き、早期の問題解決を図る」と語った。