強制明記なく「不十分」 山川出版「集団自決」 実現させる会指摘


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 山川出版社の高校歴史教科書「詳説日本史B改訂版」で、これまで記述がなかった沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)の記述が追加訂正された。ただ、日本軍の強制性明記や「住民虐殺」の記述はなされておらず、「9・29県民大会決議を実現させる会」からは「半歩前進だが、まだまだ不十分」との声が上がっている。

 同会によると、同社の「詳説日本史B」は2005年度検定時から「集団自決」と「住民虐殺」が削除され、その後も記述が復活していなかった。17年度使用教科書需要数では同社の「詳説日本史B改訂版」「詳説日本史B」を合わせた占有率が約6割となっている。

 同会の福元勇司県高教組委員長は「コラムではあるが、『集団自決』の記述が復活したのは半歩前進だ。強制性や『住民虐殺』の記述復活への道筋につなげたい」と話した。高嶋伸欣琉球大名誉教授は「05年から(「集団自決」の)記述がない教科書が発行され、その間の高校生は学ぶことができなかった。アフターケアが必要だ」と指摘した。