有望選手の沖縄県外流出 強豪校スカウト要因 懸念と理解、二つの声


社会
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 中学生の有望な運動系部活動選手83人が2016年度に沖縄県外の強豪校に流出したことが、県教育庁の初の調査で明らかになった。同庁は中学選手の流出の背景に「県外有力校のスカウトの影響」や「(県内の)指導者の異動スパンが短く、継続的な指導ができないこと」などがあるとみている。現場の指導者からは県の競技力低下を懸念する声が上がる一方、「選手の成長を考えるとやむを得ない」との思いものぞく。

 県教育庁によると、県では高校による有望中学生のスカウトは「原則禁止」だが、九州各県では一定の制限の下に認められている。県内でも「(県外有力校のスカウトが)学校を通さず、直接選手に接触して入学を勧める例がある」(教育関係者)という。

 また県と九州各県では1校の勤務期間はおおむね8年までと規定されているが、それを超過して働いているのは県では1人に対し、九州各県では5~20人いた。他県では、スポーツの強豪校で20年以上の長期間指導に当たっている教員もいるとみられる。

 県外流出について現場の指導者の声も紹介された。「(中学の)県選抜の選手のうち、4分の3が県外に流出して競技力に響く」「もともと競技人口が少ない競技なのに、エース級が県外に流出している」などの訴えが並ぶ。

 一方で「東京五輪を目指している選手で、(県外の学校で指導に当たる)U―18の代表監督の下でプレーしたほうが良いと判断した」「県外に進学したからこそ、選手が全国レベルに成長したと感じた」と選手本人の競技力向上につながっているとの意見もあった。

 調査は県教育庁が30日、沖縄市の県立総合教育センターであった第29回県中学校体育連盟・第41回県高校体育連盟実践研究発表大会の席上、参加した体育教員ら約160人に報告した。