キックボクシング世界頂点 廣虎(石垣)最後の挑戦実る ライトミドル級


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鋭いキックを見せる廣虎=1日、那覇市泊の「シャイン沖縄」(具志堅千恵子撮影)

 石垣市出身のプロキックボクサー廣虎(ひろと)=本名・根間裕人、ワイルドシーサー沖縄=が4度目の挑戦で世界王者のタイトルを奪取した。33歳で、自身最後の世界挑戦と決めていた11月27日の一戦、ISKA世界ライトミドル級タイトルマッチで、王者のウィルフレッド・マーティン(フランス)を判定で破り、世界の頂点に立った。ボクシングから始めて15年目、目指していた夢がかなった。遅咲きの新チャンピオンは「世界を舞台に戦うことも視野に入れたい」と新たな目標も生まれている。

 世界戦はワイルドシーサーグループが主催し、沖縄市で開いた。廣虎はISKAインターコンチネンタルライトミドル級王者として臨んだ。今回の相手との対戦は7月に続き2度目。リベンジマッチだった。前回は後ろに下がってしまい、ガードが堅い相手のペースにはまり、判定で屈した。

 再戦までの4カ月間、スタミナを付け、前に出ることを意識。アップダウンのある場所を選び走り込みを繰り返したほか、パンチ力の強化やパンチをよける技術の向上など、練習はこれまで以上にハードワークだった。

 3分5ラウンドで行われた試合は、強化したスタミナが終盤に生きた。勝負どころの後半にも手数は落ちず優勢に立ち、2対1で判定勝ちした。「苦労が報われた瞬間だった」と振り返る。

 同じ石垣島出身のヒーロー、具志堅用高氏に憧れ、ボクシングに興味を持った。不慮の事故で友人を失ったことから「やりたいことをやろう」と18歳で県外に飛び出し、ボクシングを始めた。その後、23歳でムエタイとキックボクシングに転身した。

 挑戦と年齢を重ねた33歳にとって、「最後の世界挑戦」と決め、挑んだ試合でつかんだチャンピオンベルト。「これまで後援者や多くの方々に負担を掛け、悔しい思いもさせた。感謝しかない」と述べ、結果で恩返しできたことに表情が輝いた。(崎原有希)