軍責任 明記求める 実現させる会「半歩前進」


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山川出版社の追加訂正に関し記者会見する「9・29県民大会決議を実現させる会」のメンバーら=1日、県庁記者クラブ

 2017年度から使用される山川出版社の高校歴史教科書「詳説日本史B改訂版」で、同社が沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)の記述を追加するよう訂正したことについて、「9・29県民大会決議を実現させる会」(世話人・仲西春雅県高校PTA連合会会長)は1日、仲里利信衆院議員(無所属)と共に県庁記者クラブで記者会見した。「集団自決」の記述が追加されたことに「半歩前進」としながらも「日本軍の責任がはっきりしておらず、まだまだ不十分だ」として、強制性の明記、「住民虐殺」の記述復活を引き続き強く求める考えを強調した。

 仲里氏は、今回の追加訂正をめぐって政府に質問主意書を提出する考えを示した。14年1月の検定基準改正で、近現代史を取り扱う際には「政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされている」ことが加えられている。大江・岩波裁判で11年に「集団自決」への軍関与を認める最高裁判決が確定していることを踏まえ、山川出版社の訂正申請に対し、強制性の記述を求めなかった文科省の対応についてただす構えだ。

 17年度から使用される高校日本史教科書の検定結果では、5社6冊のうち山川出版社の「詳説日本史B改訂版」を除く5冊は「集団自決」を記述している。同会によると、今回の追加訂正で主要な高校歴史教科書で「集団自決」が記述されることになるという。

 会見で仲西世話人は「大きな山が動いた実感はある」としながらも「まだ一部だ。日本軍の軍命があったことも記述されるよう復活を目指していきたい」と話した。玉寄哲永相談役は「第一歩としては大きい。歴史の事実を記述回復させるよう取り組んでいきたい」と述べた。