米軍、北部訓練場で麻薬密輸対応訓練 東村議に説明 安保条約逸脱か


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 米軍北部訓練場の使用目的について訓練場を担当する米兵が「米本国への麻薬密輸に対処するための訓練をしている。戦争のためだけではない」と、東村村議らの視察団に説明していたことが4日、分かった。北部訓練場では米海兵隊や米空軍などの使用だけでなく他国軍や自衛隊による「視察」も確認されており、新たな機能が付与されている側面が浮かび上がった。地元からは機能強化に懸念の声も上がっている。日本の防衛を目的に米側への施設提供を定めた日米安保条約からの逸脱ともいえ、専門家は「聞いたことがない。安保条約では目的は限定されている」と話している。

 今年7月27日に東村議全員で北部訓練場を視察した際に案内した米軍中尉が説明した。ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設が問題になっていることを受けて東村議会が訓練場の現場視察を申し込んでいた。
 参加者によると、米軍の担当者は「米国には大量の麻薬が入ってくる。中南米のジャングル地帯から入ってくることが多い。大量の麻薬から本国を守るために、拠点を奇襲攻撃したり、即応したりするためだ」と訓練目的を説明した。「戦争のためのジャングル訓練ではなく、麻薬輸出国とみなした訓練が必要」とも述べたという。規模や部隊名、実施頻度などは明らかになっていない。
 米側から説明を受けた伊佐真次村議は「整理縮小どころか、より強化された基地ということになる」と米側の新たな訓練内容に懸念を示した。
 11月25日の衆院安保委員会で、赤嶺政賢衆院議員が米軍の説明に関し「麻薬の対策と日本の防衛との間にいったいどんな関係があるのか」と質問し、政府に訓練内容を把握しているか追及した。これに対し防衛省の深山延暁地方協力局長は「米軍が北部訓練場で行っている訓練のいちいちの目的は承知していない」と述べるにとどめた。
 北部訓練場の使用を巡っては、2008年5月にドイツ軍、イスラエル軍、オランダ軍と自衛隊の4カ国の連絡官がジャングル戦闘訓練を前提に北部訓練場を視察した。今年5月には陸自の特殊作戦部隊が「視察」した。さらに自衛隊が対ゲリラ訓練のために共同使用を計画していることも明らかになっている。(滝本匠)