高江反対運動 版画に 那覇出身・比嘉さん、ベルギーで個展


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米軍北部訓練場のN1ゲートにあったテントを表現した作品=ベルギーのロシュフォール市

 那覇市出身でベルギー南東部にあるロシュフォール市在住の版画家、比嘉かな子さん(45)がベルギーで初の個展を開き、米軍北部訓練場のヘリパッドに反対する市民運動をはじめ、沖縄の基地問題を伝える作品を展示している。「ヘリパッド建設について強い抵抗を感じた。作品を作ることで、反対運動する人たちへの連帯を表明したい」。個展を通し、ベルギーの人々に沖縄の現状を伝えている。

 比嘉さんは6年前にベルギーに移住。個展には約20点を展示している。その一つに、竹で組んだ横2メートル、幅1メートル、高さ1・8メートルのテントがある。高江のN1ゲート前で工事に反対する市民たちのテントを表した。「テントに行くといろいろな情報を得ることができ、元気をもらっていた。主張する場、人が集う場の象徴としてテントを作った」。屋根にヒルギを描いた版画を掛けた。湿地帯に根を張るヒルギに、基地建設に抵抗し沖縄の土地を守ろうとする人々の姿を表した。

比嘉かな子さん

 6月に個展の開催が決まり、7月にテントが強制撤去された。「ベルギーの田舎町で沖縄のことを伝える意義があるのかとも思った。でも、作り手として胸に引っ掛かっていることを表現したい」と制作を決めた。沖縄の状況を理解してもらうよう、新聞の切り抜きを展示、仏語で説明するなどしている。

 沖縄の基地問題に初めて触れる人々に丁寧に説明している。「普段は話し掛けられないが、作品を通してなら説明できる。基地が集中している沖縄の現状に驚かれたり、『民主主義はどうなっているの』と聞かれたりする。やっぱりおかしいと気付かされた」と話した。