サンゴ、浅海も対象に 那覇でシンポ 遺産登録向け議論


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 日本サンゴ礁学会第19回大会公開シンポジウムが4日、那覇市のタイムスホールで開かれた。「沖縄島以北におけるサンゴ礁保全の問題点」をテーマに発表した国士舘大学非常勤講師の中井達郎氏は、ユネスコの世界自然遺産登録を目指す「奄美・琉球」の対象区域にサンゴ礁と浅海域が含まれていないことを指摘。島しょの環境保全は「陸域と沿岸域を切り離しては成立しない」と強調し、統合的保全管理の必要性を訴えた。

 中井氏は奄美市住用町の採石場から普天間代替基地や那覇空港拡張事業用に土砂が搬出され、そこから派生する水質汚濁がサンゴへの負荷になっていることや、外来種対策が喫緊の課題だと指摘した。

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センターの藤井琢磨氏は「奄美大島の生物多様性研究の現状」との演目で講演。薩南諸島の生物多様性については解明が進んでいないと指摘した上で「科学的証拠に基づく分布記録や情報を蓄積する標本などを充実させたい」と話した。