乳がん治療、放射線治療を短期化 「寡分割照射」を導入 那覇市立病院


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 足立源樹医師

 那覇市立病院(屋良朝雄院長)は7月から、乳がん患者の乳房温存手術後に行われる放射線治療で、1回線量増に伴う回数減で治療期間を短縮できる「寡分割照射」を県内で初めて導入している。同病院によると費用面でも若干ながら患者の負担減となることから、「仕事の都合などで短期間治療を望む人は利用してほしい」と呼び掛けている。

 寡分割照射は国内外で実施されており、これまで総線量50グレイで25回・約5週間だった治療期間を、総線量42・45グレイの16回・約3週間に短縮。1回の治療にかかる照射時間2~3分は変わらない。

 日本乳癌学会の「乳がん診療ガイドライン」では、寡分割照射は50歳以上で全身化学療法を行っていないなどの条件に当てはまる患者に勧めることができ、それ以外の患者でも細心の注意の下での実施を考慮できる-となっている。

 足立源樹放射線科部長によると、国内外の臨床試験で局所再発率や生存率が従来と差がないことが実証され、副作用・整容性(乳房の形態を術前と同様に保つ)においても良好という。一方で、従来の「総線量50グレイ」を基準とするがん保険が適用されない可能性があるため、保険会社への確認も必要となる。足立部長は「治療期間や費用負担の軽減は患者にとってメリットがある。既に数人に実施しているが効果は大きく、今後は利用する患者が増えていくと思われる」と強調した。