料理でリハビリ 半身まひの村山さん、サークル結成


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 【沖縄】沖縄市の照屋自治会(真玉橋朝勇会長)で、料理教室を通して半身まひなどのリハビリにつなげるユニークな取り組みが始まっている。活動するのは料理サークル「cocoro(ココロ)」。発起人の一人で、脳梗塞による右半身まひがある村山和夫さん(54)=市照屋=は「料理は両手でするもの。だから『料理をしよう』と頭で思えば、自然と体は右手も使おうとする。今では普通に料理もできる」と効果を実感している。

ホットケーキを切る大山富雄さん(右から2人目)や、助言する村山和夫さん(同3人目)らメンバーたち=5日、沖縄市の照屋自治会

 村山さんが脳梗塞に襲われたのは、45歳だった8年半前。10秒ほど右足がけいれんする違和感を覚え、翌日、右頬が落ちてくる感覚に陥り、病院を訪れた。病院のベッドで、そのまま意識を失った。

 「意識を取り戻した時は0歳になっていた」。妻・明美さん(55)や食べ物などを認識できず、言葉も満足に話せない。その後リハビリを続け、明美さんが忍耐強く村山さんの言葉を聞き、自身の過去や性格を説明してくれた。約3年後、妻をしっかりと認識できるようになり、今では滑らかに会話ができるまでに回復した。

 料理のきっかけは、数年前に明美さんが脳の病気を患ったこと。「一人で何でもできるようになる必要がある」と感じ、本格的に始めた。料理サークルは今年6月ごろ、市内のリハビリセンターで知り合った大山富雄さん(55)=北谷町=と立ち上げた。同じ右半身まひがある大山さんも「料理にも慣れてきた。やらないよりはやった方が脳の刺激になる」と手応えを感じている。

 「やろうと思えば、できないことはない」。村山さんは断言する。前向きな性格は病気を患う前から変わらない。動画サイト「ユーチューブ」に「脳梗塞右手麻痺(まひ)でも料理ができる」とのタイトルで投稿した動画では、野菜をスムーズに切る様子が確認できる。

 真玉橋会長は「他の地域からの参加も歓迎する。その人たちが自身の自治会に戻り、活動を広げていってくれたらうれしい」と笑顔を見せる。教室は毎週月曜午後2~4時。市外からでも参加できる。問い合わせは同自治会(電話)098(937)4470。(長嶺真輝)