移動時間が大幅短縮 記者ルポ・那覇市の乗合タクシー 高齢者も乗りやすく


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 那覇市の真和志地域で市が実証実験をしている「真和志地域乗合タクシー」が好評だ。利用者が増えているため、実験期間を来年1月8日まで延長し、1月9日からタクシー会社の鏡原第一交通が独自で本格運行することが決まった。記者が乗車し、利用者の声を聞いた。

乗り合いタクシーを利用する外間幸枝さん(右)と運転手の内嶺清美さん=6日、那覇市安里

 乗り合いタクシーは狭い集落道や坂道が多い真和志地域内で、バス停やモノレール駅、スーパーなど生活で利用する場所までの接続をスムーズにしようと導入された。

 繁多川、識名、松川3丁目、三原3丁目、寄宮3丁目、上間1丁目、長田1・2丁目の区域内ならどこでも利用可能。区域外のゆいれーる安里駅もつなぐ。

 那覇市長田から、外間幸枝さん(41)と同乗した。迎えに来たタクシーは5人乗りだがステップとスライドドアが付き、天井も高めだ。鏡原第一交通の有本司営業所長は「高齢者も乗りやすいようにした」と語る。車両は1日最大で52台運行できる。車いすで乗車可能な車両もあるという。

 料金の300円は前払い。外間さんは、息子の保育園への送迎のため朝と午後の1日2往復、ゆいれーる安里駅まで乗車している。この時も迎えのために駅まで利用した。

 以前はバスとモノレールを乗り継いでいた外間さんは、乗り合いタクシーの登場で1日2時間短縮できた。「バスよりも楽だし、時間短縮になったのが一番いい。なくなったら困るとアンケートに書いたので本格運行はありがたい」と喜ぶ。

 乗車時間は10分ほど。乗り合い客はいなかったが、乗り合い客がいても近場のエリアで設定しているため、時間のロスになることはないという。座席もほかの乗客がいても気にならないくらいに広くとられていた。

 那覇市都市計画課によると、実証実験を始めた8月は延べ98人だった利用者が11月には約180人まで伸びた。稼働率の低さに課題はあるが、高齢世帯などさらに周知を増やせば、利用者増が見込めるとして実証実験を延長し、本格運行に至った。有本所長は「タクシーは公共交通手段の一つであると再認識してもらえれば」と話した。

 利用料金は大人300円、小学生150円、未就学児無料。利用の1時間前までに予約が必要。予約は鏡原第一交通フリーダイヤル(0120)780124、もしくはファクス098(868)8648。