海外作品の沖縄ロケ増 誘客に好影響 トラブルも頻発、対策急務


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 沖縄をロケ地とする海外ドラマや映画の撮影が増加している。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)内に設置されている沖縄フィルムオフィス(FO)が支援した海外からの撮影作品は2012年度は年間9件だったが、16年度は17件となり、最近5年間でほぼ倍増した。一方、海外の撮影隊が事前に用意したスケジュールを無断で変更するなど、県内撮影関係者や受け入れ施設などとのトラブルも頻発しているため、受け入れ体制の整備が急務となっている。

琉球料理をテーマにしたラブストーリー映画「Jimami Tofu(ジーマーミー豆腐)」のロケをするスタッフら=本部町(沖縄フィルムオフィス提供)

 沖縄の認知度が向上しているほか、県とOCVBが海外作品へ3千万円を上限に撮影費用を助成していることなどが増加の要因として挙げられる。韓国をはじめ、中国や台湾など東アジア圏からの撮影が最も多く、東南アジアのシンガポールやタイからのロケ隊も増加傾向にある。支援作品の中、中華圏の映画賞を代表する「金馬奨(ジンマージャン)」で主演女優賞などを獲得した映画「百日告別 Zinnia Flower」や、ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映された「天の茶助」など話題作も沖縄ロケをしている。

 FOの担当者は「13年ごろに撮影を支援した韓国ドラマは韓国市場に影響を与え、LCC(格安航空会社)の沖縄就航にもつながった」と作品の影響力を説明する。

 一方、トラブルの例として、スケジュールの急な変更や、ロケをする観光施設の許可された場所以外で撮影するなどがある。撮影制限に対するロケ隊からのクレームなどもあり、言葉の壁や撮影のルールを巡る日本と外国の違いによるトラブルが目立つ。

 撮影に関する受け入れ体制を強化しようと、FOは県内撮影関係者らと「ロケ受入連絡会」を開いているほか、自治体や観光協会などを対象にセミナーを開催し、ロケの受け入れを呼び掛けている。(呉俐君)