全国高校生読書体験記コンクール 武田さん大臣賞 難民問題、共生考える


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武田萌さん

 高校生が読書経験を通した心境の変化などをつづる第36回全国高校生読書体験記コンクール(公益財団法人一ツ橋文芸教育振興会主催)で那覇国際高校3年の武田萌さん(19)の「ゼノフォビアと難民問題」が6日、全国11万2576点の出品から文部科学大臣賞に選ばれた。スウェーデンへの留学経験をつづった武田さんは「自分の経験から考えたことが評価されてうれしい」と語った。

 武田さんが取り上げた作品は「路上のストライカー」(マイケル・ウィリアムズ、岩波書店)。ジンバブエの虐殺から南アフリカに逃れ外国人差別と闘いながらサッカーに打ち込む主人公・デオと、留学中に出会ったシリア人難民の少年を重ね合わせ「遠い存在だと思っていた難民問題を身近に感じた」と振り返る。

 武田さんは体験記で自身がシリア人の友人ができる前、難民に否定的なイメージを持っていたことに触れ「理由のない勝手な決め付けが外国人嫌悪の入り口」と指摘。その上で、さまざまな人種が共生する社会を作るためには「外国人を一人の人間として見ることが大事だ」と訴えた。

 大学進学後は難民や移民の問題をより深く知りたいという武田さん。将来の目標を「日本で移民の立場を保障するような仕事がしたい」と語った。表彰式は来年1月30日に東京都内で開かれる。