これが不時着? 機体真っ二つ 沖縄名護東沿岸のオスプレイ事故


この記事を書いた人 松永 勝利
機体が真っ二つに折れて大破した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=14日未明、名護市安部

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部の沿岸部で墜落した事故について、米海兵隊は報道発表文で「キャンプシュワブ沿岸の浅瀬に着水した」と発表し、防衛省も広報文で「不時着水」との表現を使っている。しかし現場の海岸浅瀬に横たわっている事故機をみると、真っ二つに機体が折れて大破し、回転翼も飛び散って原形をとどめていない。制御不能で墜落したとしか考えられない状態だ。米軍準機関紙「星条旗」は今回の事故を「墜落(クラッシュ)」と報じ、琉球新報も紙面では当初から事故を「墜落」と報じている。

 これまでも米軍はオスプレイなどの米軍機事故で「墜落」という言葉を使って発表することは少ない。機体が大破して事故規模が最も重大な「クラスA」に分類された事故でも「激しい衝撃を伴う着陸」を意味する「ハードランディング」という言葉を使うことが多い。

 2015年5月に米ハワイ州で発生したオスプレイの事故も機体が炎上し、乗員2人が死亡したにも関わらず「ハードランディング」と説明した。事故は機体価格(約72億円)を上回る約97億円の損害額と算定され「クラスA」に分類された。

 13年8月に米ネバダ州で発生したオスプレイの事故も「ハードランディング」と発表し「着陸失敗」と説明したが「墜落」を否定した。AP通信はこの事故を「墜落」と報じている。

 1998年7月に沖縄県の米海兵隊基地キャンプ・ハンセン内で起きた普天間飛行場所属のUH1ヘリの事故も海兵隊は当初「事故(アクシデント)」ではなく「出来事(インシデント)」と発表した。「墜落」ではなく「ヘリが着陸しようとした際、急速に降下して地面にぶつかった」と記していた。
 実際はヘリが樹木に激突して大破し、乗員4人が負傷した。99年4月に米側が発表した報告書の表題は「海兵隊ヘリ墜落事故(概要)」と記し、この事故を明確に「墜落」と断定した。琉球新報はこの事故も当初から「墜落」として報道した。
(琉球新報ニュース編成センター長・松永勝利)