オスプレイ 「反対では負担減進まず」首相、知事をけん制


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 【東京】安倍晋三首相は16日夜のTBS番組で、オスプレイ墜落に関し「一歩一歩着実に負担を軽減していく。それが政治家に課せられた使命だと思う。ただこれは反対だと唱えてもらうと一歩も進まないわけだ」と述べ、政府にオスプレイの飛行中止、配備撤回を求めている翁長雄志知事を念頭にけん制した。

 同時に「いかに大きな問題かを理解してもらえたと思う。しかし大切なことは今ある普天間基地、住宅地に囲まれた市街地の真ん中にある普天間基地を固定化させてはならないということだ」とも述べ、普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設予定地に近い同市安部に墜落したことには触れず、計画推進の必要性を主張した。

 事故につながった空中給油訓練で、オスプレイに給油していたKC130空中給油機を普天間から移駐し、自身の地元山口県の岩国基地が受け入れたと強調した。実際は移駐後もKC130が普天間にたびたび飛来し、今回の訓練も沖縄近海で行われていた。

 事故に関しては「遺憾なことだ。同時に原因が究明されるまでは運航をやめてもらいたいと米国側に要請した。米側は運航を『止めてくれ』といってもなかなか止めなかったが、日本においては運航を一時的に止めてくれた」と成果を強調した。

 稲田朋美防衛相が米側に求めたのは「安全が確認されるまでの飛行停止」で、安倍氏が言う事故の「原因究明までの運航停止」には踏み込んでいない。

 米軍も墜落機の事故原因が不明な状態で飛行再開しているのが現状で、9月22日に本島東沖で墜落事故を起こしたAV8Bハリアー戦闘攻撃機は事故後飛行停止していたが、原因究明もなく事故から15日後に飛行再開した。

 米側はオスプレイも事故原因が不明なまま19日にも飛行させる考えを日本側に伝えている。