沖縄大学 「子どもの貧困」学術研究の柱に


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 学長のリーダーシップの下で私立大学の看板となる組織的な研究を推進する文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」にこのほど、沖縄大学(仲地博学長)の「沖縄型福祉社会の共創―ユイマールを社会的包摂へ」が採択された。子どもの貧困問題を沖縄大の新たな研究の柱に据えるもので、実践と研究の拠点として子ども食堂や学習支援の場を来年度にも開所する予定だ。

 同大は本年度、子どもの貧困対策に関わる研究費を増額してきた。今後、学内の競争的研究費も子どもの貧困を優先するなど、全学的に取り組みを進める。仲地学長は「大学の重要なテーマに福祉を加える。これまでもこれからも、地域に根ざした大学として地域の未来を地域と共につくりたい」と強調した。

 「私立大学研究ブランディング事業」は本年度に新設され、応募した全国198大学・短大から40大学が採択された。県内からの採択は沖縄大が唯一となる。採択された大学には、経常費として1大学当たり年間2~3千万円程度が3年間、措置される。使途は限定されず、広く大学運営に活用される。

 研究拠点は、那覇市の同大キャンパスから400メートルほど離れた旧沖縄女子短大記念館に設置する予定。同館は沖縄大が購入しており、研究の中核となる地域研究所、地域共創センターの事務局も移転する。

 沖縄大地域研究所の島村聡所長は「多くの貧困対策が行われているが、事業所によって考え方はばらばらだ。子ども目線での意義を探り、旧来の『ユイマール』では届かない、地域の多角的な支え合いを具体的な形にしたい」と意気込んだ。