菊酒 商品化へ 生産者、新里酒造ら連携


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 商品名は「菊華(きくか)美人」。泡盛に食用菊を漬け、エキスを抽出する。今年2月にJA、新里酒造と相談し、4月に試飲会を開催。9月には見本品80本を生産した。独特の香りや程よい苦みが楽しめる。度数は10%台前半に抑え、女性を主なターゲットにする。今後は甘みやシークヮーサーの酸味などの追加も検討している。

改良が進む菊酒「菊華美人」。スタイリッシュな瓶やラベルが印象的

 2年ほど前、平安山さんが新聞記事で食用菊が市の特産品であることを知ったことがきっかけ。以前薬膳カフェを経営していた時に「菊花茶」を出していたことや、節句などの風習を大事にする家柄だったことなどが開発を後押しした。

 平安山さんは「商品化が食用菊のPRになったらうれしい。香り、苦みが琉球料理や天ぷらに合う」と自信たっぷり。菊柄の着物を着て菊華美人をPRする久場さんは「就寝前に飲んだらリラックス効果もあるのでは」と薦める。

 市内では7人の農家が食用菊をハウス栽培しており、年間16~17トンを生産する。もともと東北地方ではゆでるなどして食べる習慣があり、9割超を県外に出荷する。出荷時期は12月下旬から4月頃まで。冬場でも温暖な沖縄の気候を生かす。

 食用菊生産の第一人者で、1994年から栽培する島袋貴さん(46)は「変わったものを作り、市の特産を作りたかった」と当時を振り返る。菊酒の商品化については「うれしい限り。需要が増えれば、生産者の所得も上がる」と期待している。

菊華美人の開発に取り組む久場美咲さん(後列右から2人目)や島袋貴さん(前列右端)ら=4日、沖縄市上地のミュージックタウン音市場