57年、元気に野菜売り 農連市場の最高齢店子 新垣キクさん(90)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ずらりと並んだゴボウの奥で、てきぱきとモヤシのひげを取る。那覇市樋川の農連市場で57年、野菜を販売する新垣キクさん(90)は、市場で最高齢の店子(たなこ)だ。市場内にいる複数のキクさんの中でも“大キクさん”と呼ばれて親しまれる。「市場の人は優しくてきょうだいみたい。みなさん市場に来て下さい」と元気よくPRした。

農連市場で57年、野菜を販売する新垣キクさん=27日、那覇市樋川の農連市場

 新垣さんが市場で野菜を売り始めたのは1959年。夫が61歳で亡くなるまでは2人で野菜販売を営んできた。当時の市場は所狭しと店舗が並び、卸売業者や店子、一般客でにぎわっていた。「足の踏み場もなくて、野菜の置き場もないくらい」と振り返る新垣さん。今は当時と比べて客は減ったが“相対売り”を楽しみ、「元気に営業している」と笑顔を見せる。

 2年前に息子家族が住む南城市に引っ越した。南城市から「用事がないとき以外は」毎朝4時半に市場に通い、昼すぎまで野菜を販売する。新垣さんが店子を続けるのには市場で会う友人たちの存在がある。「休んだら代わりに野菜を売ってくれる。どうしたのと声を掛けてくれる。友だちは大事です」。2017年9月に新しくできる市場にも入居予定だ。「新しい所はまた立派になる」とさらに期待を込めている。

 農連市場の年内営業は31日午前中まで。来年は4日から営業開始。(田吹遥子)