「送迎車で学校混雑」 徒歩登校全国最低 保護者、不審者懸念も


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学校まで車で子どもを送り届ける保護者のイメージ図

 沖縄が全国一多いことが分かった学校への自家用車での送迎を巡り、保護者から「(登下校の時間帯に)学校前が送迎の車で混雑して危険だ」との懸念の声が上がっている。一方、自家用車で送迎する保護者からは「不審者などの不安がある」との声も。市を挙げて徒歩登校の推奨に取り組む豊見城市は児童生徒の学習効率も上がるなど、歩行での登校が“朝のウオーキング”となり、学習面に好影響が出ているという。

 識者からは夜型社会という沖縄の生活スタイルが子どもの健康に与える影響を指摘する声も上がる。

 那覇市内の幼稚園に子どもを通わせている母親は「雨の日の朝は特に校門前が送迎の車で混雑する。併設される幼稚園に子どもを通わせていると、危険を感じる」と不安そうな表情で話した。

 一方で、子ども送迎する保護者からは「不審者情報もあり、1人で通わせるのは不安」(那覇市、小1男児の母親)、「1年生なので道に慣れないうちは送っていた」(同市内、小1女児の母親)など、子どもの安全への懸念を口にした。

 市町村単位で徒歩登校の推奨に乗り出す自治体もある。豊見城市は2013年から学校周辺の交通渋滞解消や子どもたちの体力向上を目的に「てくてく登校」と銘打って徒歩登校を推進してきた。

 徒歩登校の推奨で、同市高安のとよみ小学校は全体の95%に上る児童が歩いて登校している。交通安全指導で通学路に立ってもらうなど保護者の協力も得て、通学路の安全確保にも配慮し、徒歩登校推進に取り組む。同校の榮野元康一校長は「徒歩登校が体のウオーミングアップになり、子どもたちは1校時の授業からスムーズに勉強できる」と意義を強調した。

 那覇市内で小学生の肥満率などの調査に取り組む那覇市医師会生活習慣病検診センターの崎原永辰氏は「肥満や生活習慣病は運動不足や生活スタイルの影響を大きく受ける」と指摘。保護者の送迎が多い背景を「夜型の生活スタイルの影響も否定できない」との見方を示した。(塚崎昇平)