施設維持 50年で3.8兆円 沖縄県、改修・更新へ計画策定


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 日本復帰後に大量に造られた沖縄県の公共施設の老朽化が進み、将来的に改修や更新時期を一斉に迎えることから、県は全体を把握し計画的更新や配置最適化などを図るため、「県公共施設等総合管理計画」を12月に策定した。現在ある施設の量と規模を維持する場合の修繕・更新費は、2065年度までの50年で約3兆8828億円となり、年間で約776億円が必要で、財政負担の軽減を図ることが求められる。

 計画では(1)安全安心の確保(2)施設規模や配置、機能などの適正化(3)コスト縮減と財政負担の平準化―の基本方針を掲げ、今後は施設類型ごとの取り組み方針を策定する。実施期間は17~26年度。

 公共施設で県営住宅や学校施設など公共建築物(ハコモノ)は、65年度までに約1兆6314億円(年平均約326億円)が必要となる見込み。道路や港湾などの土木等施設(インフラ)は、約2兆2512億円(同450億円)を要する。

 15年度末現在のハコモノの延べ床面積は、約349万3千平方メートルで、修繕時期となる築30年以上の建物が約31%を占めている。インフラの半数以上は、36年度に築50年となる見通し。

 一方で、県人口は25年度前後をピークに減少傾向になるとされ、人口構成の変化に合わせ施設機能などを見直す必要もある。また自主財源の割合が低く、依存する地方交付税や国庫支出金の大幅増や維持が期待できないため、歳入・歳出の見直しも必須だ。沖縄は全国で最も厳しい塩害環境下にもあり、公共施設の劣化の進行も比較的早いという。