政府、原因特定せず「安心」 オスプレイ空中給油再開


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】墜落事故を受けて空中給油訓練が停止されている米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、防衛省は5日午前、米軍が6日以降に同訓練を再開すると発表した。稲田朋美防衛相は「(事故)原因を完全に特定するには至っていない」としたものの、米軍の「安全対策は有効」との説明を受け訓練再開を容認した。「オスプレイが空中給油する能力を維持することは防衛や緊急時の対応の点から重要だ」とも述べた。詳細な事故原因が不明なまま、1カ月もたたずに全面的な飛行再開となる。県内からは「日本政府は米軍の言いなりだ」などと批判の声が上がっている。

米軍普天間飛行場に駐機する新型輸送機オスプレイ=5日午後、宜野湾市

 防衛省は米側からの新たな情報として、オスプレイのプロペラと給油機のホースが接触した事故は名護市安部の海岸から約74キロ離れた公海上の訓練空域「ホテル・ホテル」内で行われた給油訓練時に発生、プロペラ以外に損傷はなかったが「着水」の衝撃で大破したという。搭乗員5人のうち2人が負傷し入院したが、1人は既に退院、残り1人は米国本国の病院に転院した。

 事故の要因は搭乗員の意思疎通、心身の健全性などの「人的要因」、風や乱気流、降雨といった「環境要因」に加え、夜間の空中給油の複雑さが重なり、ホースとプロペラが接触した可能性がある。オスプレイと給油機の間の距離など詳細な事故状況は最終的な調査で確認するとしている。

 菅義偉官房長官は5日の会見で「防衛省、自衛隊の専門的知見に照らした結果、事故防止に有効と認められる対策を幅広くとっていると認められた」と述べた。

 墜落事故は昨年12月13日に発生し、米軍は機体の安全性が確認されたとして事故から6日後の同月19日に飛行を再開した。ただ事故が空中給油訓練中に発生したため、空中給油訓練は行われていなかった。

 米軍は事故原因の調査を継続しているが、事故当時と同様の天候や飛行条件下での同訓練の手順確認、地上でのシミュレーションなど必要な教育を実施したと日本側に説明している。防衛省は米軍の「安全対策」を分析した上で「妥当」だとして訓練再開を認めた。

 防衛省は5日、県や名護市など関係自治体に訓練再開を伝えた。

 訓練再開は天候などの状況で7日以降にずれ込む可能性もある。