「沖縄に恩返しのプレー」 知念慶、J1で飛躍期す


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 2017年シーズンから、サッカーJ1の強豪・川崎フロンターレへ入団する南風原町出身のFW知念慶(21)=愛知学院大4年、北丘小-南風原中-知念高出。高校までは全国大会の経験はなく、中央では無名の選手だった。大学入学後に頭角を現し、東海学生リーグで2年時に得点王、3、4年時にはランキング2位と実績を残した。177センチ、71キロとFWとしては決して高くはないが、攻撃の起点となるプレーや得点能力の高さを武器に活躍を誓う。「1年目から試合に出たい」と新たなステージへ気持ちは高ぶる。

J1川崎フロンターレでのキャンプインに向け、軽く汗を流し調整する知念慶=5日、南風原町の黄金森公園

 2歳上の兄の影響もあり小学1年でサッカーを始めた。小柄ながらキープ力とボール奪取能力が高く、DFとして活躍していた。知念高時代は2年のインターハイ県予選の準優勝が最高成績。その後の選手権県予選は初戦敗退に終わった。「部活は楽しかったが全国に出られずに悔しかった」

 大学入学当初は人生初のBチームからのスタートだった。部員が多く、個々のレベルも高く「どうすればAチームに入ることができるのか不安があった」と振り返る。国内外問わず、さまざまな試合の動画を見て研究を重ねた。基本的なプレーもあらためて徹底した。

 すると、徐々に頭角を現し、Bチームの大会で得点を量産して優勝した。Aチームのメンバー入りを果たすと、毎年全国大会に出場。2年時には全国大学4強入りに貢献した。2、3年時は東海学生リーグのベストイレブンにも選出された。

 複数クラブから打診を受けるなど高く評価されていたなかで「意識が高くいい選手が多いJ1のトップレベル」の印象を持つ川崎に加入が決まり「信じられない」気持ちだったと話す。

自らも所属していた北丘FCの子どもたちと汗を流す知念慶

 プロは「華やかな世界」と目を輝かせる。一方で高い実力の世界でもある。「怖いが一日でも早く試合に出られるように得点を決める練習を重ね、積極的にシュートを打ちアピールする」と意気込む。7日、帰省中の沖縄を離れ、今月中旬からの宮崎キャンプでチームに合流する。

 県内高校からでもプロになれることを伝えたいという知念。「得点をたくさん決めて沖縄の人に元気を与え、恩返しできるプレーをしたい」。夢は始まったばかりだ。

(崎原有希)