障がい者「家族が虐待」26件 15年度県内 施設職員は2件


この記事を書いた人 新里 哲

 沖縄県障害福祉課はこのほど、2015年度の県内における家族ら養護者と福祉施設職員による障がい者虐待件数を発表した。養護者による虐待は26件で、被虐待者数は延べ29人(実数・男性7人、女性19人)。福祉施設職員による虐待は2件・2人(同・男性2人)で、合わせて28件・31人だった。年度単位での調査が始まった13年度以降、いずれも最少となった。

 調査は12年の「障害者虐待防止法」施行後から実施されている。14年度の虐待件数は養護者38件・39人、職員8件・11人で、13年度が養護者58件・64人、職員4件・5人だった。

 市町村や県が受理した養護者による虐待通報・届出件数は82件で、調査の結果、26件を虐待と認定した。虐待種別(重複回答)では、「身体的虐待」が最多の16件。次いで「心理的虐待」12件、「経済的虐待」8件、「放棄・放置(ネグレクト)」4件、「性的虐待」1件―となった。

 被虐待者を障がい種別(同)で見ると「精神障がい」13人、「知的障がい」8人、「身体障がい」6人、「その他」2人だった。また虐待者の続柄(同)は兄弟・姉妹の10人が最多で、父親6人、夫4人、母親3人―と続く。事例26件のうち、11件で虐待者との分離措置が取られた。

 福祉施設職員による虐待通報・届出件数は21件で、虐待認定は2件。虐待種別では「性的虐待」「心理的虐待」が1件ずつだった。沖縄労働局に報告した使用者による虐待通報件数は4件となっている。同課担当者は「法律施行後、家族が虐待に当たると認識するようになったことで減少しているのではないか」と分析。今後も啓発活動や通報に対応する市町村職員への研修を継続していくとした。(久場安志)