世界に歌声響け ラッパー・島袋さん、動画サイト再生150万回


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沖縄市成人式で代表あいさつする島袋洋平さん=8日、沖縄市民体育館

 【沖縄】「誰かの心の中で音楽として生きるアーティストになりたい」―。2月で新成人となるラッパーの「Rude―α(ルードアルファ)」こと島袋洋平さん(19)=沖縄市出身=が、音楽の世界で“ビッグ”になる夢に向け、まい進中だ。代表曲の一つ「CoCo ga Okinawa」は、動画サイト「ユーチューブ」で150万回を超えるヒットに。昨年4月には上京。「親が背中を押してくれた。心が折れそうな時もあるが、家族を思うとまた立ち上がれる」。感謝の気持ちを胸に、決意を新たにしている。

 8日に沖縄市民会館で開かれた成人式。「いぇ」。その一言で始まった島袋さんの代表あいさつ。「今まで自分勝手にやってきた。たくさんの人に迷惑を掛け、傷つけたと思う」。宮里中3年の頃に、反抗期を迎える。ベランダから抜け出し、夜の街に繰り出したこともあった。

 しかし興南高2年の時、転機を迎える。「お前は誰だ」。米国発祥のカジュアル服「B系」のファッションで夜中に市内の公園にいると、突然、ラップバトルを仕掛けられた。「お前こそ、誰だ」。即座にやり返し、ラッパーの血が目覚めた。その時の相手は先輩ラッパーのKDT。「あのことがなかったら、今の自分はない」

 即興で歌詞を作る技術や、高く力強い歌声に評価は高い。高校3年だった2014年、全国高校生ラップ選手権で「琉球ファンク」と称したラップを披露し、見事準優勝に輝いた。卒業後は沖縄国際大学に入学したが、休学して昨年上京。楽曲製作や音楽フェスティバルへの出演など、精力的に活動を続ける。

 最近帰省した際、80歳を前に体調を崩している祖父から言われた言葉が、原動力だ。「後悔しないように生きろ。自分で決めた道で、成功するまで沖縄に戻ってくるな」。胸に突き刺さった。泣くのをこらえ、ただうなずいた。

 約1500席の会場を埋める新成人たちを前に、最後に口を突いたのも、家族への感謝の思いだった。

 「おとお、おかあ、産んでくれてありがとう。おじい、東京でまだまだ頑張るよ。全員に幸あれ」