食の安心・安全を観光の魅力に


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アレルギー対応学ぶ
八重山フードツーリズム推進協議会

 沖縄県・沖縄観光コンベンションビューローの平成28年度観光人材育成プラットフォーム構築事業(派遣講師活用支援)は、質の高いサービスを提供できる人材育成を目的とし、企業や団体が行う社内研修に専門講師を派遣する支援事業を実施している。八重山フードツーリズム推進協議会は14回にわたり食物アレルギー対応料理の研修を実施した。講師を務めたアレルギー対応沖縄サポートデスクの田村磨理理事と、研修に参加したホテル日航八重山の小西伊知郎洋食料理長を取材した。

地域が結束し取り組んだ
育人登録講師の田村磨理さん
(アレルギー対応沖縄サポートデスク理事)

田村磨理さん

 修学旅行生のうちアレルギー患者は5%で、この数字はアジア各国もほぼ同じだ。観光事業者がアレルギー対応のスキルを身につければ増加する海外からの観光客にも対応できるし、県観光の強みになる。現状は各事業者が限られたノウハウで対応していたり「受け入れは怖い」という意識があったりする。食のバリアフリーが求められており、人材育成が課題だが独自に取り組むにはコストも時間もかかる。この事業は企業の実情に合わせた研修を組み立てることができ、さらに謝金の8割を助成してもらえるのでぜひ活用してほしい。

 八重山フードツーリズム推進協議会は食物アレルギー患者の旅行受け入れを目指し事業を活用した。ホテルなど21事業者が研修を重ねてスキルアップし、今月いよいよアレルギー児家族の団体旅行を受け入れる。ホテル日航八重山ではアレルギー対応メニューブックを作成した。アレルギー児にも家族と同じメニューを楽しんでほしい、夕食だけでなく朝食も初日と2日目では別メニューを提供したいという思いがつまっている。食事は1日3回のことなので地域連携が必要だ。今回は地域が思いを共有し結束して取り組んだ。

ホテル日航八重山が開発した夕食用メニューの一つ「ビーフとポークのハンバーグ」。小麦粉、卵を使用していない。
アレルギー対応研修の様子

楽しく選択できるよう工夫
研修に参加したホテル日航八重山の小西伊知郎洋食料理長

ホテル日航八重山の小西伊知郎洋食料理長

 アレルギーを中心に食事に関するゲストの要望はどんどん増えている。今回、食物アレルギー児家族の団体旅行受け入れをきっかけに研修に参加し、メニューを考える中で、アレルギー対応の大切さを再認識した。

 メニュー開発では、細かく調理法を練り、スチームや真空パック調理などで仕上げた。牛乳ではなくココナツミルク、白ワインビネガーの代わりにリンゴ酢ビネガー、トウキビを砂糖の代わりに使った。めったにいないが「塩がだめ」という人もいる。調味料は一つのメニューに2~3種類用意するなど、バイキング形式で楽しく選択できるように工夫した。このようなメニューはホテルの一つの顔になり得る。アレルギー対応の要求に応えるのは急には難しい。日ごろから思案することで対応力は付いていく。

 

研修に参加した石垣リゾートが開発したアレルギー対応メニューの一例
研修に参加した石垣鍾乳洞が開発したアレルギー対応メニューの一例

観光人材育成プラットフォーム構築事業

 観光関連企業・団体が実施する社内研修に対し、講師への謝金の8割を助成する。

同事業への本年度実施期間は平成29年2月15日(水)まで。

― 問い合わせ ―

沖縄観光コンベンションビューロー 国内事業部受入推進課
観光人材育成センター(担当・神山、冨井)
[電話]098(859)6129

「育人(はぐんちゅ)」サイトで詳細確認や申し込みに必要な書類がダウンロードできる。

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