社会

番組で沖縄ヘイト 東京MXテレビ基地問題特集

 【東京】東京ローカルのテレビ局が2日、米軍北部訓練場のヘリパッド建設に反対する市民をテロリストに例える内容の番組を放送した。番組の発言者らは、建設に反対する市民らについて「何らかの組織に雇われている」と指摘、背後の組織についてヘイトスピーチ(憎悪表現)やレイシズム(差別主義)に反対する団体「のりこえねっと」(東京都)を挙げ、共同代表で在日3世(韓国籍)の辛淑玉(シンスゴ)氏を名指しで批判した。これに対し辛氏は「沖縄ヘイトは植民地の遺産だ。番組は沖縄に何をしてもいいというお墨付きを与えた。罪深い」と話している。

 辛氏は、放送倫理・番組向上機構(BPO)や法務省、国連に人権救済を申し立てる考えだ。

 問題の番組は「東京メトロポリタンテレビジョン(通称・東京MXテレビ)」(東京都千代田区)が2日に放送した「ニュース女子」。沖縄の米軍基地問題を特集し、軍事ジャーナリストの井上和彦氏が沖縄を訪れた場面を報じた。スタジオでは、東京新聞・中日新聞の長谷川幸浩論説副主幹が司会を務め、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏、元経済産業省の岸博幸氏らが意見を交わした。

 番組のテロップでは反対市民について「過激派デモの武闘派集団『シルバー部隊』 逮捕されても生活の影響もない65~75歳を集めた集団」とし「過激デモに従事させている」と解説した。「敵意をむき出しにされた」とし、取材交渉を断念したと説明し、市民らの声は取り上げなかった。

 井上氏は「(反対市民が)救急車も止めたとの話がある」「テロリストみたいだ」「カメラを向けると(市民は)凶暴化する、襲撃されると言われた」と発言した。普天間基地周辺で男性の名前とみられる「光広」や「2万円」と書かれた茶封筒が見つかったとして「反対派の人たちは何らかの組織に雇われているのか」とのナレーションが流れた。日当の根拠についての説明はなかったが、井上氏は「韓国人はいるわ、中国人はいるわ、何でこんなやつらが反対運動やっているんだと地元の人は怒り心頭」「大多数の人は米軍基地に反対とは聞かない」と決め付けた。

 スタジオの発言者は辛氏の反差別運動などの取り組みを挙げ「隙間産業。何でもいいんです盛り上がれば」「親北派だから反対運動している」などと批判した。

 番組に対し、のりこえねっとは「辛淑玉を誹謗(ひぼう)中傷する虚偽報道に対する抗議声明」を発表した。

 辛氏は「一切取材を受けていない。番組は、金でしか動かない人たちから見た沖縄観の典型だ。正義や道徳、思いで動く人たちが理解できないのだろう。沖縄ヘイトの内容を公共放送で流した点は罪深い」と話している。

 東京MXテレビは琉球新報の取材に対し「状況確認および回答の可否も含めて、結論が出ておりません」と回答した。