沖縄の米施政権に「影響なし」要求 65年覚書で米が日本にくぎ刺す


この記事を書いた人 松永 勝利

 【東京】外務省は12日、外交文書24冊を一般公開した。沖縄関係は1冊。米施政権下の沖縄への経済援助などを話し合う日米協議委員会の機能拡大を図る日米間の交渉で、1965年に公文を交換する際、米側がサンフランシスコ講和条約第3条を根拠に「琉球諸島に対する合衆国の権利に影響を及ぼさない」と記した不公表覚書を出していたことが分かった。米側の施政権に変更を及ぼさないよう日本側にくぎを刺す狙いがあったとみられる。
 佐藤栄作首相も65年3月24日に、外務省から交渉状況の報告を受け「チャレンジする気はない」と述べ、米側の施政権を変更する意志がないことを示していた。これを受け外務省は翌日の3月25日、駐日米大使館のエマーソン公使に佐藤首相の意向を伝えていたことが極秘公文で分かった。
 沖縄の日本への返還が約束され、復帰に向けた話し合いが進む70年、施設の縮小などを理由とした米軍基地従業員の大量解雇を巡っては、米側が日米協議委員会の議題として取り上げられることを避けていたことが分かった。同年の第18回会合に向けた事務折衝で米側が出した議題案に盛り込まれておらず、外務省の極秘メモに「正式の議題としては取り上げられたくないとの意向」と記されている。【琉球新報電子版】