子どもの支援 島ぐるみで おきなわゆめみらいフェスタ シンポ通じ啓発


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「つながり、皆で育む」をキャッチコピーに沖縄の子どもたちの「いま」を知り、子どもの未来に対する支援活動や寄付などの拡大を目的とした「おきなわゆめみらいフェスタ」(主催・県、沖縄子どもの未来県民会議)が14日、北中城村のイオンモール沖縄ライカムで開催された。シンポジウムでは子どもの問題の正しい理解や県民で支える重要性を訴える機会を増やすべきだとの指摘があったほか、会場からも子どもを取り巻く環境などさまざまな問題を知る機会を増やしてほしいとの声が上がった。

登壇し、それぞれの考えや取り組みを述べる(左から)映画監督の刀川和也さん、一般社団法人県子ども総合研究所代表の堀川愛さん、ミュージシャンの平葵さん=14日午後、北中城村のイオンモール沖縄

 沖縄子どもの未来県民会議の会長でもある翁長雄志知事は「沖縄の将来を支える大きな可能性を持った子どもたちが夢を諦めることなく、成長できるよう県民の支援をお願いしたい」とあいさつした。

 沖縄子ども貧困解消ネットワーク共同代表の山内優子さんがコーディネーターを務めたシンポジウムで、8年間に及ぶ児童養護施設の日常を追い掛けた映画「隣る人」の刀川和也監督は「大切にしたのはストーリーではなく一緒に寝ることや散髪すること、『大好きだよ』と伝えることなどのシーンだった。血縁関係ではなくても大切な関係になれることを知れた」と撮影を振り返った。

 不登校を乗り越え音楽活動する平葵さんは自身の経験から「子どもが自分で前に進みたいと思ったときにしっかり支えてあげられる、応援できる環境があることが大切だ。現状を知り、理解する。そして情報を共有し合うことが、みんなで支えることへの第一歩だと思う」と期待を込めた。

 県子ども総合研究所代表の堀川愛さんは相対的貧困について説明し、「貧困については誤解や偏見がついて回る。起こってしまった現象の原因追及で個人を責めるのではなく、起こってしまったことに寄り添うために一人一人が手を取り合っていくことをしてほしい」と語った。

 家族3人でシンポジウムを聞いていた花城清也さん(30)=那覇市=は「子どもの貧困が思ったよりも多いと思った。今回のイベントのように子どもの問題を知る機会が増えてほしい」と話した。

 イベントではきいやま商店やシベリアンスカンクなどのアーティストのミュージックライブや子どもの居場所づくりをする10団体の紹介コーナー、「隣る人」の無料上映もあった。