演劇「命どぅ宝」で非暴力の希望 東京・劇団文化座 平和の原点描く


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
演劇「命どぅ宝」の稽古に励む劇団文化座の出演者ら=13日、東京都北区の劇団文化座

 【東京】米軍による土地の強制接収に沖縄住民が激しく抵抗した1950年代の「島ぐるみ闘争」が舞台の演劇「命(ぬち)どぅ宝」が2月2~12日、東京都池袋の東京芸術劇場シアターウエストで上演される。劇団文化座(東京都)の創立75周年記念第1弾で、代表の女優・佐々木愛さん(73)は「沖縄の人に見てもらっても絶対大丈夫」という自信作。沖縄だけでなく「日本、世界が良い方向ではない今こそ原点を見詰めてほしい」との思いが込められている。

 物語の舞台は伊江島の土地闘争。銃剣とブルドーザーで土地を奪われた阿波根昌鴻ら農民は座り込みを主とした抗議行動を展開する。瀬長亀次郎も闘いに参加、島ぐるみの様相を帯びていく過程を描いている。

 主人公である阿波根、瀬長らの重要な発言や物語の展開、場面など、基本的な要素はかなり史実に忠実に描かれている。佐々木さんは「実際に両氏が語った言葉を知ってほしかった。閉塞(へいそく)した状況から出てきた素晴らしい言葉や2人の人間性を描きたかった」と、その狙いを語った。

 着眼点は「沖縄の人たちは、なぜ座るのか」。その理由は、2人の生きざまを通して見えてくると考えた。米軍という圧倒的な権力や暴力を前に闘う人々が選んだ道は「非暴力」による抵抗だった。そこに平和への光や希望を見いだした姿を伝えたいという。

 佐々木さんは「この2人は生前、スケールが大きい言葉を人々に投げ掛けた。そんな言葉を持つ政治家は今の日本には見当たらない。演劇を通して2人の人間性に触れ、平和の原点を見詰め直す機会にしてほしい」と話している。

 日程や入場券の問い合わせ・申込先は(電話)03(3828)2216、劇団文化座。