コンクリ混和材 新製造機 小型化、加熱を短縮 リュウクス


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「加熱改質フライアッシュ(CfFA)」製造機の新型装置の実物30分の1の模型を持つリュウクスの謝花一成社長=13日、うるま市

 火力発電所から排出される石炭灰(フライアッシュ)を原料に、コンクリートの劣化を抑えるコンクリート混和材「加熱改質フライアッシュ(CfFA)」を製造するリュウクス(うるま市、謝花一成社長)はこのほど、混和材製造機の新型装置を開発した。従来の製品より3分の1程度に小型化し、原料の加熱方法を変えることで、これまで5時間かかっていた立ち上げの時間を1時間以内に短縮した。1月下旬には新型装置と新たな加熱方法が特許を取得する見通し。

 現在、試験機の運用を始めており、2017年度内に実機の製造に着手し、早ければ18年度内に商用化を目指す。

 フライアッシュについては昨年11月、沖縄総合事務局がフライアッシュ活用勉強会を設置し、リュウクスなど県内企業と共に、県産コンクリート製品の海外展開に向けて検討作業を進めている。リュウクスの新型装置の開発はコンクリート製品の販路拡大にも弾みがつきそうだ。

 リュウクスが現在使用している混和材製造機は灯油を燃焼させ、装置を加熱する仕組みだが、新型装置は電磁波で加熱。これまで難しかった細かな温度設定が可能となり、生産性の向上も図られる。さらに小型化で装置の設置費用なども低減化される。

 フライアッシュは化学反応で生成された化合物がコンクリート内部の隙間を埋め、劣化原因となる塩分や水分、二酸化炭素の浸食を防ぐ役割がある。しかし従来の混和材はコンクリートに微細な隙間を生む「未燃炭素(カーボン)」と呼ばれる燃えかすが3~8%程度含まれていたため、流動性や粘着性の低さが課題となっていた。

 リュウクスは独自の製法で、フライアッシュに加熱などの後処理を加えることで、未燃炭素の含有量を1%以下に低減させ、コンクリートの耐久性を飛躍的に向上させることに成功した。

 リュウクスのフライアッシュは、最近では住宅などにも活用が広がっている。謝花社長は「新型製造機の開発で、これまで産業廃棄物として処分されていた石炭灰の全量を建築資材に活用できる。コンクリートの長寿化は環境にも良く、循環型社会の構築につながる」と話した。
(吉田健一)