最後の競り「感無量」 畜産一筋50年、永山さん涙


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50年にわたる畜産経営で最後の競りとなった永山愛子さんと出品牛=15日、伊江村家畜市場

 【伊江】15日に開かれた伊江村家畜市場の初競りで、肉用牛生産者として最後となる競りに2頭を出品した一人の女性がいる。東江前区の永山愛子さん(73)は畜産業を営んで50年。数少ない女性農家で母牛を15頭ほど飼い、弱った子牛が生まれたときは家の中で育てるほど愛情を注いだ。

 牛にストレスを与えないよう常に気配りをしながら飼育し、村内の畜産農家や購買者からも信頼は厚い。

 初競りには愛子さんが登場する姿を目に焼き付けようと、親類らが大勢詰め掛け、競りを見守った。1頭目に出品した成牛を引き連れた時は、感謝の意を込め会場内の関係者に深々と頭を下げた。電光掲示板の金額は止まることなく一気に100万円の大台を突破。掲示板を見詰める愛子さんの目には涙があふれ、成牛で最高価格となる127万1160円の値が付けられた。会場から大きな拍手が送られた。2頭目の去勢子牛も90万8280円と高値で取引された。

 永山さんは「懐かしさがこみ上げ、最後に高値で売れて感無量。皆さんには感謝の気持ちでいっぱい」と涙ながらに話し、家族や来場客から「お疲れさま」とねぎらいの言葉が掛けられた。
(金城幸人通信員)