沖縄県内の家賃 全種減少 供給過多で競争激化


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 おきぎん経済研究所(出村郁雄社長)は27日、県内賃貸物件の2016年賃料動向調査を発表した。住宅の平均賃料は新築、中古物件ともに全ての部屋数タイプで前年と比べて1・0~2・4%の幅で減少した。建築費用の高騰を背景に、賃料はここ数年上昇傾向にあったが、物件の供給過多から来る値下げ競争や稼働率を優先する動きの広がりなどで、4~6年ぶりに減少に転じた。地区別では那覇市新都心地区が前年に続き最も高い水準となった。

 新築(築1年以内)の「3K~3LDK」の平均賃料が7万6500円と最も高く、中古の「1ルーム~1LDK」は4万3200円だった。減少幅が大きかったのは中古の「2K~2LDK」で、前年より1300円(2・4%)減の5万3500円だった。

 店舗・事務所の1坪当たりの平均賃料は前年比1・9%減の6200円と4年ぶりに減少した。人手不足から15坪程度の小型店舗の需要が高まっていることが賃料を押し下げる要因となった。地区別では那覇市新都心地区が最高額の9700円となった。官公庁が集中する久茂地などの那覇市西部が8千円と続いた。

 賃貸物件の入居率を地域別に見ると、石垣市が99・8%と最も高かった。尖閣諸島への対応で増員された海上保安庁職員による借り上げ需要が続いている。那覇市(新都心)の98・1%、宮古島市の97・5%と続いた。入居率が最も低かったのは前年と同様に「沖縄市と近隣町村」で84・1%だった。人口・世帯数は伸びているものの、供給過剰感が続いていることから、入居率を引き下げた。

 15年度の新設住宅着工戸数は1万6065戸で、このうち貸家が67・1%の1万784戸を占めた。貸家の新設戸数は対前年度比で3・9%増加した。

 調査は毎年実施し、今回で19回目。対象は県内の不動産会社17社23店舗で、管理戸数は5万8751戸(県全体の25・4%)。賃料は共益費や駐車場代などを除く。2016年8~11月に文献調査、11~12月にヒアリング調査を実施した。