知事訪米前に埋め立て承認撤回を トランプ政権発足で沖縄の識者が緊急シンポ


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 トランプ米政権発足を踏まえ、沖縄が基地問題にどう対処するかについて討議する緊急シンポジウム「沖縄はどうすべきか-安倍政権の対沖縄政策に対抗するために」(主催・沖縄対外問題研究会=代表・我部政明琉球大教授)が28日午後、那覇市の沖縄大学で開かれ、約200人が参加した。翁長雄志知事に対し、辺野古埋め立て承認を撤回し立場を明確にして30日からの訪米に臨むべきだとの声が上がった。

パネル討論に耳を傾ける参加者ら=28日、沖縄県那覇市の沖縄大

 このほか具体的な取り組みとして(1)県土保全条例で国が免除されている県知事の許認可条項の改正(2)国交省に提出される米軍機の飛行計画の事前公開義務化(3)新たな日米地位協定改定案(4)包括的な沖縄の米軍基地の返還計画の策定(5)基地被害をまとめた白書作成-などの必要性が指摘された。

 「ジャパンフォーカス」エディターの乗松聡子氏は知事訪米について「撤回せずに行ったら、工事再開を許したことに礼を言われるだけだ」と指摘し、すぐさま承認を撤回すべきだとの見解を強調した。

 前県商工会連合会会長の照屋義実氏は経済界の立場から、嘉手納より南の返還時期が現行の沖縄振興計画から外れていることを挙げ「軍用地の返還とワンパッケージでないと沖縄振興法も使い勝手がよくない」と指摘した。その上で自立経済の確立には製造業の成長が鍵だとの認識を示した。

 研究会の宮里政玄顧問が冒頭、トランプ政権の誕生を受けて沖縄から何をすべきか基調提起をした。このほか我部教授や桜井国俊沖縄大名誉教授、琉球新報の松元剛報道本部長、沖縄タイムスの長元朝浩論説委員が登壇した。