「危険と隣り合わせ」 那覇空港の空自機脱輪、足止めの乗客に疲労といら立ち


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
出発便が遅延・欠航となり、搭乗変更手続きで列をつくる搭乗客ら=30日午後、那覇空港の国内線出発ロビー

 航空自衛隊のF15戦闘機によるトラブルで約2時間にわたって滑走路が閉鎖された沖縄・那覇空港。欠航や目的地変更などで少なくとも7千人以上に影響を及ぼすなど、終日混乱した。出発ロビーは搭乗便の振り替えなどを求める観光客やビジネスマンらでごった返した。足止めとなった乗客からは那覇空港の軍民共用への疑問の声や、長引く待ち時間に疲れた表情を浮かべる姿も見られた。

 滑走路が閉鎖されて1時間以上が経過した午後2時20分ごろ、那覇空港の各航空会社のカウンター前には振り替え便を求める人が列をつくった。

 正午すぎの便で久米島に向かう予定だった清水せい子さん(67)=三重県=は「狭い機内で1時間以上も待たされ、頭がくらくらしパニック障害を起こす寸前だった」と疲れた表情を浮かべた。自衛隊機と民間機が共用する那覇空港については「危険と隣り合わせだ」と述べ、自衛隊や米軍基地など「戦争を連想させる全ての軍事機関に嫌悪感を覚える」と憤った。

前輪が脱落した航空自衛隊第9航空団204飛行体所属のF15DJ(空自提供)

 羽田から那覇に向かっていたJAL909便は、目的地を変更し米軍嘉手納基地に降り立ち、到着時刻が3時間半の遅延となった。出張で同便に搭乗していた20代の女性=東京都、会社員=によると、嘉手納基地に午後2時20分ごろ着陸した後、那覇空港から燃料が届くまで機内で2時間半以上待たされた。「空調も切れて暑かった。客室乗務員に『どうしてくれるのか』と問い詰める客もいた」と述べた。

 また、石垣発那覇行きの一部の便は、那覇空港上空で引き返し石垣に戻った。那覇空港到着まで2時間近く遅れが出た。搭乗していた長嶺翔太さん(22)=那覇市、会社員=は「自衛隊のトラブルはよくある印象がある」と淡々と話した。

 宮古空港では午後2時半ごろ、那覇空港に着陸できなかった全日空機が目的地変更で着陸した。宮古空港管理事務所によると、一時5機分の駐機スペースが満杯になり、着陸した飛行機が誘導路で待たざるを得なかった。

 一方、国際線ターミナルでは突然の滑走路閉鎖に困惑する外国人観光客の姿も見られた。韓国・ソウルから約3時間遅れで那覇空港に到着したヤン・スンミさん(63)は「滑走路に故障機がある影響で降下許可が出ないと機内アナウンスがあり、空中でずっと待機していた。雪の影響で出発も遅れたのに到着も遅れるなんて、ついてない」と話した。