ICT活用で広がる沖縄の可能性 フィンテック活用を討論


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ITを活用した新たな金融サービス「フィンテック」の可能性などについて語る登壇者=30日、沖縄市のミュージックタウン音市場

 沖縄市の創業・起業支援拠点事業「スタートアップカフェコザ」の一環で30日、ミュージックタウン音市場で「ICTと沖縄の可能性について」と題した講演・討論会が開催された。金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)が融合した「フィンテック」が生活に及ぼす影響などが報告されたほか、さまざまな社会的課題の解決に向けて、フィンテック分野への投資強化や起業家支援の充実、金融機関とフィンテック企業との連携など、分野を超えた企業間連携による新たな技術革新(イノベーション)の創出などが提言された。

 金融庁総務企画局の井上俊剛参事官が、フィンテックの進展に応じた金融行政の取り組みについて講演し、経済産業省や日銀那覇支店の担当者、県内企業の代表者らが討論した。

 井上氏は「フィンテックに国境はなく金融市場に変革を及ぼしている。グローバルな視点を忘れるべきではない」と指摘、「コザはチャンプルー文化だと聞いている。フィンテックも金融とITのチャンプルー(融合)。フィンテック分野で沖縄発のグローバル企業が生まれてほしい」と話した。

 基調講演した投資会社「ミスルトウ(Mistoletoe)」(東京)の藤村聡最高戦略責任者(CSO)は、人工知能(AI)が人間を超える「シンギュラリティ」がもたらす未来について「人間の生活ががらりと変わる。その中でいかにAIを使いこなすかが問われている」と指摘した。

 フィンテック分野の一つで、取引記録を複数のコンピューターで同時に管理し、仮想通貨「ビットコイン」の取引でも使われるブロックチェーン技術について、経済産業省商務情報政策局の河合諭司課長補佐は、技術の活用により「個人間や機器同士の価値のやりとりを、信頼性の担保なしでできる世界がくる」と述べ、部屋を借りる際の仲介者などが不要になる可能性に言及した。