対馬丸慰霊碑に感謝 遺族、奄美・宇検自治会に


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遺族3人の話を聞く、対馬丸慰霊碑建立実行委員会の川渕昌春委員長(左端)ら宇検村の関係者=30日、那覇市若狭の対馬丸記念館

 疎開学童や一般疎開者を乗せた「対馬丸」の犠牲者が多く流れ着いた奄美大島の宇検村宇検の船越海岸で、慰霊碑建立を進めている慰霊碑建立実行委員会委員長の川渕昌春・宇検自治会長ら関係者が30日、那覇市の対馬丸記念館を訪ね、進ちょく状況などを説明した。遺族3人が出迎え「慰霊碑ができて(犠牲者は)ようやく海から上がり足を地に着けて眠れると思う」などと建立に感謝した。

 当時10歳だった弟、国吉真英さんを亡くした又吉正子さん(85)は「弟の遺骨は見つかっていないが、慰霊碑があれば安らかに眠ってくれると思う」と目頭を押さた。武富園子さん(81)は1歳違いの兄・良紀さんを亡くした。「港で別れたときに兄の名前を呼んだが、振り向いてくれなかった。その最後の姿が忘れられない」と声を詰まらせ「悲劇を二度と起こさないためにも、慰霊碑を通して対馬丸について知ってもらいたい」と話した。

 川渕会長は「慰霊碑の建立で対馬丸事件を子々孫々まで残していける。後世の道しるべにしていきたい」と話した。

 慰霊碑は3月19日に除幕される。対馬丸記念会は、慰霊碑の周辺美化を支援するため、同会への寄付を呼び掛けている。