字神山郷友会 集落跡惜しむ 普天間基地内、池造成に落胆


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 【宜野湾】米軍普天間飛行場内の字神山集落跡に米軍の冠水被害を防ぐ目的で雨水の調整池を造成する計画で2日、宜野湾市の字神山郷友会の25人が飛行場内の集落跡を訪れた。会員からは「入れて良かった」と肯定的な反応のほか、作業が始まっている現状に「寂しい」「もう仕方ない」などと落胆する声が上がった。

 会員によると、戦後直後は残っていた屋敷跡の盛り土がならされていた。戦前の井戸とそれを支える石積みは残っていたという。防衛省が調整池を計画する辺りは表土除去作業が進み、草が刈られた状態だった。

 父親が神山集落出身だという男性(67)は「せめて跡地だけでも見たいと思い、参加した。住宅などが残っていれば、自分の子どもたちにも伝えられるのだが」と声を落とした。調整池計画について「集落の跡が残っていたら保存の声を上げることができた。だが(作業が進む)現状では仕方ない」とため息をついた。同行した会員らの様子については「昔の(集落の)姿を知っている人たちは、感慨深げに見詰めていた」と語った。

 両親が神山集落出身の男性(60)は初めて両親の故郷に足を踏み入れた。立ち入り後「跡形もない。言葉が出なかった」と驚いた様子だった。調整池計画に「先人たちが築いた地域が無くなるのは寂しい。諦めにも似た感情だ」と言葉少なに立ち去った。