伊江島で基地問題学ぶ 東京弁護士会 わびあいの里訪問


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東京弁護士会が授与した表彰状が飾られた故阿波根昌鴻氏の祭壇に手を合せた東京弁護士会人権擁護委員会の沖縄問題対策部会のメンバー=1月21日、伊江村東江前のわびあいの里

 【伊江】東京弁護士会人権擁護委員会の沖縄問題対策部会(藤川元部会長)のメンバー13人は、1月20日から2泊3日の日程で沖縄を視察に訪れた。基地問題を含めた沖縄のありのままの現状を視察し、生の事実を正しく知り、東京の弁護士や一般市民に、その現状と事実を伝えることなどが目的。21日、伊江村のわびあいの里を訪れ、謝花悦子理事長の講話に耳を傾けた。反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」を見学し、戦跡を巡った。

 東京弁護士会は2003年1月、反戦平和運動・人権活動に尽力した同資料館創設者の故阿波根昌鴻氏に第17回東京弁護士会人権賞を授与した。授章式には謝花理事長が出席し、謝意を述べた。

 謝花理事長は「阿波根の闘いは非暴力で暴言・暴力を振るわずに道理だけで、闘うための陳情規定をつくり土地闘争や基地問題に立ち向かった。沖縄の基地問題は伊江島から始まっている」と強調した。その上で「阿波根は『人災である人殺しの戦争は絶対にやってはいけない』と命懸けで平和運動を続けたが、『平和は見えない。あの世にいっても平和運動をしないといけないか』と、悔しい言葉を残して101歳の生涯を終えた。私は基地がある以上、戦後と思ったことは一度もない。ずっと戦争中だ。これからの子どもたちにどのような教育ができるだろうか」と投げ掛けた。

 阿波根さんの闘いの一例として、伊江島の基地建設で土地立ち退きを言い渡された際、作業員に聖書を突き出して抗議し、その日の作業をやめさせたという行動や、節約生活などを挙げた。

 藤川部会長は「戦争そのものが風化しつつある。沖縄の紙面と東京では報道内容や扱いが違う。誤解のないように隠れている事実を伝えるのが役目だ。法律は道理に従った内容でなければならない。伊江島のことに力を入れて現状を伝えていきたい」と話した。

 同部会の視察は、1995年の米兵少女乱暴事件の翌96年から続けられ今回で22回目。伊江島の視察は初めて。
(中川廣江通信員)