新田重清氏に東恩納寛惇賞 考古学、グスク時代の解明貢献


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 沖縄研究の先駆者、東恩納寛惇の学問的業績をたたえ、沖縄を対象にした人文・社会分野の史的研究で顕著な業績を挙げた研究者に贈る第34回東恩納寛惇賞(琉球新報社主催、第一書房後援)に、元沖縄考古学会会長の新田重清(にったじゅうせい)氏(84)=糸満市=が決まった。新田氏は県内各地で遺跡の発掘調査に携わり、沖縄の先史・グスク時代の文化解明などに取り組んできた。土器文化の系譜や農耕文化の考古学的検討など幅広い研究活動に加えて人材育成にも尽力するなど、沖縄考古学の確立と普及への功績が評価された。

 新田氏は糸満市出身。1955年に琉球大学教育学部を卒業後、糸満高校に社会科教諭として赴任。72年4月から77年3月まで琉球政府立博物館(復帰後は県立博物館)学芸員を務めた後、再び教育現場へ戻り、豊見城南高校の校長で定年退職した。2002年6月から05年5月まで沖縄考古学会会長を務めたほか、沖縄国際大や琉球大で非常勤講師、新沖縄県史編集専門部会副部会長などを歴任した。

 東恩納寛惇賞の選考会は1月26日、那覇市内で開かれた。選考委員は赤嶺政信琉球大教授、豊見山和行琉球大教授、田里修沖縄大教授、當眞嗣一沖縄考古学会会長、赤嶺守琉球大教授の5氏。贈呈式は2月24日午後6時から、那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで開かれる。