普天間の停止、今回も求めず 日米首脳、「辺野古唯一」を声明に明記


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】訪米中の安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで初の首脳会談を行った。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還問題について、飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画を「唯一の解決策」とし、推進することを確認した。共同声明にも盛り込んだ。

米軍普天間飛行場の移設が計画される沖縄県名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部=5日

 トランプ氏が日本政府と辺野古新基地建設を推進することを公式の場で確認するのは初めて。首相は政府が2019年2月までに実現すると県に約束した普天間の運用停止(5年以内の運用停止)について、今回も米側の協力は求めなかった。

 両首脳は日米同盟を一層強化することでも一致。中国が領有権を主張する尖閣諸島については米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象と確認した。

 首脳会談の成果として、安全保障と経済の両面での協力強化をうたった共同声明を発表。辺野古新基地建設については「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である」と明記した。

 これまで外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同声明には「辺野古唯一」の文言が明記されていたが、首脳会談での共同声明にこの文言が明記されるのは初めて。

 首相は会談後の共同記者会見で、沖縄の米軍基地問題について「普天間飛行場の全面返還を実現すべく唯一の解決策である辺野古移設に向け、引き続き日米で協力して取り組んでいく」と強調。同時に抑止力の維持と負担軽減を進めるために、在日米軍の再編に取り組むことを表明した。

 一方、トランプ氏は「日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定の礎石だ」と強調し、日本の米軍駐留受け入れについて「感謝する」と述べるにとどめ、沖縄に関する言及はなかった。

 首相は会談で沖縄の基地負担軽減に向け、嘉手納より南の米軍施設の返還やグアム移転など計画を加速するよう要請したとみられる。ただし、共同声明には沖縄の負担軽減についての直接的な文言は明記されなかった。

英文へ→Heads of Japan, U.S. assert “Henoko is the only solution”, with no mention of pledge to close Futenma