「米軍機罰則条例を」 渡嘉敷准教授、騒音・低周波で提起


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渡嘉敷健准教授

 【名護】琉球大学の渡嘉敷健准教授を招いた勉強会「オスプレイ・CH53ヘリ航空機騒音の実態と低周波音の実態」(主催・新基地建設を考える辺野古有志の会)が18日、名護市の辺野古交流プラザで開催され、約50人が会場に足を運んだ。渡嘉敷准教授は沖縄県の条例で米軍機の騒音への罰則規定がないことに触れた上で「県は積極的に騒音防止に関わる条例をつくるべきだ」と強調した。

 渡嘉敷准教授は低周波や超低周波について「人間の聴覚で感知しづらい」とした上で、「睡眠妨害など人体に影響を与えることが多くの調査や研究で明らかになっている」と指摘。だが、米軍機から発せられる低周波などに関して、国は被害を想定しておらず、対策がないことを説明した。

 渡嘉敷准教授によると、米軍機による低周波や超低周波の影響は、2010年の普天間爆音訴訟の高裁判決で初めて問題視されるようになった。渡嘉敷准教授は「防衛省による普天間第二小学校の防音測定では125ヘルツ以上からしか測定しておらず、低周波はその範囲に入っていない」と話した。

 米軍機は飛行ルートが決まっている民間機と異なり、民間地上空を比較的自由に飛行できることを指摘した上で「県内どこでも騒音被害があり、本来は沖縄防衛局がきちんと調査をすべきだ」と国の対策が不十分だとの見方を示した上で「複数箇所で騒音を測定して、その情報を行政に上げる仕組みが必要だ」と話した。

 また、渡嘉敷准教授が実施したアンケートによると、観光で沖縄を訪れた人の多くは波音などに癒やしを感じている。「波音やエイサーの音は沖縄の資源として捉えることができる。それを阻害する米軍機による騒音を取り締まる罰則規定を含んだ条例をつくる必要がある」と話した。