安慶田氏「採用依頼、一切ない」 県議会委で否定


この記事を書いた人 志良堂 仁
県議会文教厚生委員会で答弁する安慶田光男前副知事=20日午後、県議会

 沖縄県議会の文教厚生委員会(狩俣信子委員長)は20日、教員採用試験での口利き疑惑などの問題で辞職した安慶田光男前副知事を参考人招致し、事情を聞いた。安慶田氏は「特定受験者を採用できないと認識していたので、採用試験において依頼したことは一切ない」などと述べ、改めて関与を否定した。

 安慶田氏は、県教育庁の内部人事についても「教育長に指示し、聞かなかった際に恫喝(どうかつ)するなどということは絶対にない」と強調した。副知事の辞職は、県政の安定を取り戻すためとし「口利きを事実と認めたことでは決してない」と述べた。

 文書で口利きなどを告発した諸見里明前教育長については、社会的名誉の侵害などから「耐え難い苦痛」を受けたとし「事実ではないことを世間に公表した前教育長は責任を負うべきだ」と指摘。その上で「司法の場で真実を明らかにするほかないとの結論に至り、前教育長を告訴することとした」と説明した。

 委員会では県政野党の沖縄・自民から「副知事の立場で説明する責任を放棄している」(照屋守之氏)、「参考人質疑では限界がある」(末松文信氏)などの指摘が上がり、調査特別委員会(百条委員会)の設置を求めた。

 与党の平良昭一氏(おきなわ)は、安慶田氏と諸見里氏のやりとりについて「個々の問題だと分かった。個人的には議会の立場のものではない感じを持っている」との見解を示した。

 安慶田氏の主張について、諸見里氏は取材に対し「弁護士を通すことになっており、コメントは差し控えたい」と答えた。委員会は諸見里氏に3月上旬の参考人招致を打診しているが、返事はない。

 安慶田氏が諸見里氏に名誉毀損(きそん)で損害賠償を求める民事訴訟の第1回口頭弁論は3月14日、那覇地裁で開かれる。