外国人客需要を取り込むには 沖縄・那覇でセミナー 識者らが戦略指南


この記事を書いた人 平良 正
パネル討論で提言する(右から)松清一平氏、劉瀟瀟氏、中村圭一郎氏=28日、沖縄県那覇市

 急増する訪日外国人客(インバウンド)をテーマにしたビジネスセミナー「インバウンドビジネス最前線~外国人旅行者がもたらすビジネスチャンス~」(主催・日本政府観光局、琉球新報社、日本経済新聞社)が28日、沖縄県那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで開かれた。外国人客需要をつかみ、企業の成長や地方創生に結び付ける戦略を討議した。

 インバウンドマーケティングを国内外の企業に助言するルース・マリー・ジャーマン氏(ジャーマン・インターナショナルCEO)が基調講演し、1980年代から日本で働いてきた自身の体験を通して、訪日観光の魅力や国際化への対応を話した。

 ジャーマン氏は「グローバル化で大事なことは、アイデンティティーを守ることだ」と述べ、自身の商品やサービスの強みを自覚することがインバウンド対策の鍵になると指摘した。「インバウンドに合わせて変わる必要はないが、付加価値やストーリーを正しく説明する必要はある。お金をためて日本に来る外国人は、内容を認めれば適正価格を払ってくれる」と情報の届け方の重要性を語った。

 日本政府観光局インバウンド戦略部長の蜷川彰氏は、外国人客が5年で40倍に拡大した兵庫県豊岡市や、タイ人観光客の急増を受けて県外からのビジネス参入が地域活性化に結び付く山梨県富士吉田市の事例を紹介し、「インバウンドビジネスに関わるチャンスを地域が抱える課題の解決に活用する取り組みが増えている」と述べた。