木造住宅全般のイナワ(沖縄県宜野湾市)が木製のらせん階段を開発した。木製らせん構造は曲げや強度で難しさがあるが、独自の設計と工法で強度を維持しながらより安価に設置できるらせん階段を実現した。2016年の沖縄の産業まつりに出展して注目を集め、このほど那覇市宇栄原の新築家屋に設置された。
木製らせん階段は、直径25~30センチの杉の木をらせんの軸となる「親柱」に据え、羽子板ボルトと呼ばれる補強金具を打ち込んで踏み板を結合させていく。各部材は工場で加工され、現場では組み立てるだけで完成する。
らせん階段は熟練の大工による現場の施工が主流だが、部材を規格標準化することでコストと工期の削減につなげた。
イナワの稲福農善会長は「従来の鉄骨製や集成材によるらせん階段に比べてもデザイン性に富み、木の味わいがあるインテリアとして女性にも受け入れられると思う。規格標準化したことで出来上がりも職人の技術に左右されず、価格も安価になる」と述べた。
製品化に向けた安全性の確認試験では、踏み板に400~500キロの重さをかけても耐性が確認された。稲福樹専務は「らせん階段は最小限のスペースで昇降ができるため、居住空間を広く有効に利用する上でもニーズがある」と語った。
比嘉秀人さん(39)は、設計士に勧められて産業まつりで木製らせん階段を目にし、自宅への導入を決めた。比嘉さんは「金属の階段を入れると部屋が冷たい感じがする。子どもも階段の上り下りや、階段下の空間を楽しんでいるので良かった」と目を細めた。