“沖縄戦体験”本に 「記憶残る最後の世代の責任」 名護中7期


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幼年期の戦争体験を一冊にまとめた(左から)宮城里子さん、大城清治さん、具志堅徹さん、屋嘉宗松さん=名護市の琉球新報社北部支社

 【名護】名護中学校を1955年に卒業した7期生らが、5~6歳だった頃の沖縄戦体験をまとめた証言集「幼年期の戦争体験を通して」を発刊した。家族にも積極的に戦争体験を語ってこなかったメンバーも多い。しかし、幼いながらも戦時中の記憶が残る最後の世代として戦争が招く悲惨さを次世代へ残そうと、同級生19人の証言を自分たちで編集した。空襲や食糧難、収容所でマラリアを患って生死をさまよった体験などを記録した。

 今回の証言集発刊は、2014年に1939年生まれの西原中学校7期生らが戦争体験を記した文集をまとめたとの本紙記事がきっかけ。名護中7期生の大城清治さん(77)が同記事を読み、作成を提案した。戦争体験に関する座談会や戦後の名護の光景を写真や文章で紹介する章も設けた。500部を発行したうち、100部は市内の小中高や図書館、公民館へ寄贈する。

 大城さんは「未来の子どもたちのために残す。かけがえのない地球を大事にしたい」と意義を強調した。サイパン島で母や祖母が自害しようとしたことなどを記した元県議の具志堅徹さん(77)は「いろんな戦争体験があり命からがら生き延びた。その思いを語らないといけないと同級生でまとまった」と語る。

 戦時下の避難生活や戦後の食糧難などをつづった屋嘉宗松さん(78)は「あまり子どもにも話したことはない」と明かす。10・10空襲の記憶などを記した宮城里子さん(77)は「反戦平和が原点。今、戦争体験を語れるぎりぎり最後の世代だと思う」と戦争体験継承の思いを込めた。