帰れぬ故郷、沖縄重ね 北方領土スピーチ 瀬底さん全国一


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「北方領土に関する全国スピーチコンテスト」で内閣府特命担当大臣賞を受賞した瀬底蘭さん=1日、県議会議長応接室

 2月25日に東京都で開かれた「北方領土に関する全国スピーチコンテスト」(北方領土問題対策協会主催)で、沖縄県代表として出場した北中城中1年の瀬底蘭さん(13)が、全国一となる内閣府特命担当大臣賞を受賞した。瀬底さんは「南の島の思い 北の四島の希望に」と題し、米統治から日本復帰した沖縄と北方領土の現状を重ね「南の島の思いが、北の四島の希望になりますように。『北方領土の日』が『北方領土返還の日』になることを心から願っています」と訴えた。

 コンテストは本年度は全国から5809作品の応募があった。県勢の最優秀賞は初。

 瀬底さんは昨年8月、北方領土青少年・教育者現地研修会に参加し、元島民らから故郷への思いなどを聞いた。「古里なのに帰れない、古里なのに返してもらえない北方領土の現状が、沖縄と似ている。離れているが、同じ気持ちでいるのだろうと思った」という。

 スピーチでは「大切な故郷を奪われたり、特別な環境で生きてきた者同士だからこそ、互いの気持ちを理解し、力になれることがきっとある」「北方領土と一番離れているからこそ、気持ちは一番近くにいたい」と、早期返還を願う沖縄の気持ちを込めた。

 瀬底さんは「沖縄の思いが伝わったことがうれしかった。いつか北方領土に行きたい」と語った。