空自F15事故で車エビ220万損失 出荷できず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
航空自衛隊那覇基地の川波清明基地司令(右)に抗議する大田治雄町長=2月14日、同基地(久米島町提供)

 航空自衛隊那覇基地所属のF15戦闘機が1月30日に那覇空港で脱輪し滑走路が封鎖された事故で、久米島町産の車エビ約1トンが予定通りに出荷できず、220万2千円(692キロ)の損失が出ていたことが分かった。久米島漁業協同組合など町内3業者から要請を受け、大田治雄町長と幸地猛町議会議長らが2月14日、同基地を訪れ川波清明基地司令に抗議書を手渡した。

 抗議書は事故について「厳重に抗議し、航空自衛隊機の安全管理の徹底、事故原因の早急な究明と公表、再発防止を強く要求する」と求めている。

 大田町長は琉球新報の取材に「今後も事故はあるかもしれないので、しっかり取り組んでほしい」と要求した。車エビの損失について「事業者が泣き寝入りでなく、何らかの国家補償もすべきだ」と指摘した。抗議の場でも求めたという。

 那覇基地は取材に「再発防止は当然心掛けるが、損害賠償については言えない」と述べるにとどめた。航空幕僚監部からは1日夜時点で返答がない。

 旅客が国家賠償法に基づいて国に損害賠償を求める条件は、航空自衛隊が「故意または過失によって違法に他人に損害を与えた時」とされ、今回の事故が「故意か過失」に該当するか否かが焦点となりそうだ。県議会2月定例会の代表質問と一般質問で、崎山嗣幸氏(社民・社大・結)と比嘉京子氏(同)らから質問が上がっていた。

業者「信用大きく失う」

 日本一の生産量を誇る久米島町産車エビは、航空自衛隊F15戦闘機の脱輪で那覇空港が閉鎖され、久米島空港から予定通り出荷できなかった。被害を受けた町内3業者は「買い受け業者に多大な迷惑を掛け、久米島の車エビ業者の信用を大きく失落させる結果となった」と訴え、再発防止を強く求めている。

 損失220万2千円(692キロ)の内訳は、返品による損失が174万6千円(388キロ)と、市場変更による損失45万6千円(304キロ)。

 124万8千円(344キロ)の被害が出た久米島漁業協同組合の宮里真次参事は「久米島からジェット機が欠航し出荷できなかったのは初めてだ。那覇空港が軍民共用のため、こういうトラブルが発生する」と指摘した。

 49万8千円(180キロ)の損失を被ったエポックの上地淳場長は「同じことが二度とないようにしてほしい」と求めた。

 45万6千円(168キロ)の被害が出た南西興産の毛利文郎さんは「天候はある程度仕方ないが、頼まれた商品を届けられないのはきつい」と吐露した。