新しい那覇市民会館、基本設計を公開 首里織イメージした外観に 交通渋滞に懸念も


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久茂地小学校跡地に建設予定の新文化芸術発信拠点施設内観イメージ図(那覇市提供)

 那覇市の久茂地小学校跡地に建設される新文化芸術発信拠点施設(新市民会館)の基本設計がまとまり、3日に那覇市牧志のテンブスホールで開かれたシンポジウムで市民に公開された。首里織りをイメージした外観など“那覇らしさ”を追求。2018年度着工、21年度開館を目指す。今後は予定地周辺の渋滞解消やまちづくりに向けて、市民参加型の議論がさらに求められる。

 新市民会館は、13年に久茂地小跡地への建設が決定。16年度には一般市民や地域住民、音楽・舞台関係者などに、説明会やワークショップを開催してきた。設計は6月に設計案を市民に提案。その後のワークショップで出た意見を反映し、基本設計が完成した。17年度には実施設計に入る。

 新市民会館の設計は公開プレゼンテーションで選ばれた香山・久米・根路銘設計共同体が手掛けた。建物には1601席の大ホールと306席の小ホール、大小合わせて四つの練習室を完備する。外観は首里織りのように折り重なった複数の線が施設を包み込むデザイン。1階のロビーは、ウナー(庭)をイメージし、外との行き来がしやすい造りに。練習室には半屋外空間のアマハジ(雨端)を設けた。シンポジウムでは、市民からカフェや資料室の設置を提案する意見も上がった。

 一方、大型施設の立地で街の変化が予想される地域からは懸念の声も絶えない。特に新市民会館前の片側1車線の県道(一銀通り)は道幅が狭く、渋滞が指摘される。商業区域になることで居住環境が乱されないか不安視する住民も多い。

 市都市計画課は、交通渋滞解消ため、松尾交差点から久茂地橋までの340メートルの道幅を5メートル拡幅し、松尾側と久茂地側に右折帯を設置する予定だ。モノレールの駅やバス停が近いとして、公共交通機関での利用を推奨。駐車場も設置予定だが周辺の有料駐車場や市役所駐車場などの利用を促すとしている。住民らと地区計画の協議を重ね、風営法の対象となる店舗は入らないようにするなどの計画を立てている。新垣昌秀都市計画部長は「(市民会館の)建設に伴い、歩いて楽しめる那覇のまちづくりを進めたい」と期待する。

 しかし、久茂地に住む仲根建作さんは「道の拡幅で渋滞は本当に解決できるのか。一斉に1600人の観客がまちにあふれたらどうなるのか」と不安が拭えない。「地域にも生かされる施設になってほしい」と求めた。

新文化芸術発信拠点施設外観イメージ図(那覇市提供)